2012年5月24日
将棋の世界には、羽生善治という天才がいます。
彼の輝かしいキャリアは、1985年に史上3人目の中学生棋士となることから始まります。
1996年には、将棋界にある7つのタイトル全てを独占するという快挙を成し遂げたモンスターは、勝負の世界に身を投じているとは思えないほど穏やかな風貌をしています。
私もよく子供の頃に遊んでいた将棋。
将棋の駒の材質は、ツゲ・ツバキ・ホウノキ・カエデなどの木が一般的です。
中でも、ツゲは日本にある木材の中でもっとも緻密で均一な材質であり、硬く割れにくい特性を持つことから、強度のあるプラスチックが登場するまでは、重要な資材でした。
駒材としても非常に人気があり、伊豆諸島の御蔵島に自生している「御蔵島黄楊(ツゲ)」と、鹿児島県の「薩摩黄楊」が最高級品とされています。
また、ツゲは虎斑・根杢・くじゃく杢などの様々な杢が確認できるため、このような材を使用した駒には、工芸的価値も高まり、高級品として扱われています。
ツゲの用途は、将棋の駒以外にも印鑑やクシなどが有名です。
ツゲは高級材であるため、「シャムつげ」と呼ばれる外国産の木が代用品として用いられることがあります。
「シャムつげ」は、日本のツゲと比べると柔らかく、緻密ではないので粘りがなく、強度の面で劣ります。
「シャムつげ」は、「つげ」と称していますが、実は東南アジア産のアカネ科クチナシ属の落葉高木であり、ツゲ科のツゲとはまったく種類が異なる木材です。
つまり、「つげ」ではないのです。
そのため「シャムつげ」は現在では、公正取引委員会のガイドラインに従って、印鑑業界では「アカネ」、クシ業界では「本つげ」と表記されるようになりました。
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